平成21年(2009年)6月に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行され、長い期間にわたって、マイホームを良好な状態で使用するために下記における一定の基準を満たしている住宅を指して、長期優良住宅といいます。
長期優良住宅の認定基準(新築の場合)
長期優良住宅の認定基準(新築の場合) *一般社団法人 住宅性能評価・表示協会より引用 |
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住戸面積 | ||
良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること 一戸建て75㎡以上 共同住宅40㎡以上 *少なくとも1の階の面積が40㎡以上 |
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耐震性 | ||
極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること 耐震等級3(階数が2以下の木造建築物等で壁量計算による場合) |
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省エネルギー性 | ||
必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること 断熱等級5かつ一次エネルギー消費量等級6 |
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維持管理・更新の容易性 | ||
構造躯体に比べて耐用年数が短い設備配管について、維持管理(点検・清掃・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること 維持管理対策等級(専用配管)等級3:戸建て 維持管理対策等級(共用配管)等級3:共同住宅等 更新対策(共用排水管):共同住宅等 |
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劣化対策 | ||
数世代に渡り住宅の構造躯体が使用できること 劣化対策等級(構造躯体等)等級3 床下・小屋裏の点検口を設置など |
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居住環境 | ||
良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること 地区計画、景観計画、条令によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定等の区域内にある場合には、これらの内容と調和を図る |
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バリアフリー性(共同住宅等) | ||
将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスペースが確保されていること 高齢者等配慮対策等級(共有部分)等級3 |
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可変性(共同住宅・長屋) | ||
居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること 躯体天井高さ2,650㎜以上 |
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維持保全計画 | ||
建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること ・住宅の構造耐力上主要な部分 ・住宅の雨水の侵入を防止する部分 ・住宅に設ける給水または排水のための設備 |
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災害配慮 | ||
自然災害による被害の発生の防止又は軽減に配慮されたものであること 災害発生リスクのある地域においては、そのリスクの高さに応じて、所管行政庁が定めた措置を講じる |
長期優良住宅における税の特例
長期優良住宅新築のメリットとして、税の特例があります。
長期優良住宅における税の特例 | ||
住宅ローン減税(2022年1月以降居住開始) | ||
①控除対象借入限度額(2023年12月31日までに入居):5,000万円(一般の住宅3,000万円) ②最大控除額:455万円 ③控除期間:13年 |
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投資型減税額の特別控除 | ||
標準的な性能強化費用相当額:上限650万円の10%相当額をその年分の所得税から控除 | ||
登録免許税(2024年3月31日までに新築された住宅) | ||
①所有権保存登記:0.1% ②所有権移転登記:戸建て 0.2% マンション 0.1% |
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不動産取得税 | ||
1,300万円を控除(一般の住宅1,200万円) | ||
固定資産税 | ||
2分の1減税 戸建て:5年間 マンション:7年間 |
*その他、住宅ローンの「フラット35S」や「フラット50」といったより良い条件の住宅 ローンの利用ができます。
上記、税の特例や住宅ローン優遇は、【従来の「つくっては壊す」スクラップ&ビルド型の社会から、「いいものを作って、きちんと手入れをして長く大切に使う」ストック活用型の社会への転換を実現する(国土交通省)】ための補助的な位置づけであり、金銭的にお得な住宅を意味するものではありません。
*税の特例は、当コラム執筆時点によるものです。
『長期優良住宅のデメリットと思うところもメリットです』
①建築に時間がかかる傾向がある
住宅を長く使うための基準に沿って建築される。
*手間暇かけて建築されるので、質の高い住環境を手に入れることができる。
②建築費が高くなる
*耐震性や省エネルギー性といった、長期優良住宅の基準に合わせるため、それなりのコストがかかります。
*質の高い住環境を手に入れることができる。
③申請にコストがかかる
*長期優良住宅の認定申請にコストはかかりますが、行政によって多少の価格の違いがある。自分で認定申請する場合は数万円、ハウスメーカー等を通じて申請する場合は数十万円となることもある。
*認定を受けることにより、税の特例措置や住宅ローンの金利引き下げなどの優遇が受けられる。また、質の高い住宅の証明であり、中古住宅として売りに出しても、買い手が安心して買える。
④維持・メンテナンスに費用がかかる
*長期優良住宅の認定条件に「維持・保全管理」というものがあり、最低でも10年ごとの定期的な点検・補修等が求められているためコストがかかる。
*定期点検・補修をすることにより、大規模な破損・事故を防ぐことができ、数世代にわたって住み続けることができる。