資金が足りない!!
自分が借りられる住宅ローンは3,000万円!!ほしい物件は5,000万円。あと2,000万円どうやって増やす? 「親からの援助を受ける=相続時精算課税」

目次

  1. 1.概要
  2. 2.受贈者の要件
  3. 3.住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の要件

*掲載日時点の制度に基づいて解説しております。

父母・祖父母から資金の援助を受けることによって資金を増やすことができます。資金の援助(贈与)を受けることによって通常は贈与税がかかりますが、受贈時は2,500万円まで贈与税の特別控除を適用でき(2,500万円を超えた場合は超えた分に対して税率20パーセントの贈与税がかかる)、先々、父母・祖父母の相続が発生したときに相続税として清算されます。この制度を「相続時精算課税」といいます。ここでは住宅取得資金の援助を受けた場合の相続時精算課税について解説致します。
なお、この制度は「住宅取得資金の援助を受けた場合の非課税」と併用できます。

1.概要                                       

父母・祖父母からの贈与により、自分が居住する住宅家屋を新築・取得または増改築等の対価に充てるために金銭の援助を受けた場合で、一定の要件を満たす場合は相続時精算課税を選択することができます。

2.受贈者の要件                                    

(1)贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(子や孫など)である推定相続人又は孫であること。
(2)贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること。
注:令和4年4月1日以降の贈与については18歳となる。
(3)自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、又はこれらの方との請負契約等により新築若しくは増改築したものではないこと。
(4)贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得資金の全額を充てて住宅用の家屋を新築すること。
注:受贈者が住宅用の家屋を所有することにならない場合は、この制度の適用を受けられない。
(5)贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること。なお、贈与を受けた時に日本国内に住所を有しない人であっても、一定の場合には、この特例の適用を受けることができます。
(6)贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であることが見込まれること。

3.住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の要件                       

*ここでは増改築等の場合の要件は割愛します

「住宅用の家屋の新築・取得」には、その敷地の取得資金も含みます。また、対象となる住宅用の家屋は日本国内にあるものに限られます。
*新築する敷地のために取得した土地も含む。
*受贈者が居住するための住宅家屋であること。

(1)登記簿上の床面積が40㎡以上かつ床面積の2分の1以上に相当する部分が居住の用に供されるものであること
(2)建築後使用されたことがない住宅用の家屋であること。
(3)建築後使用されたことのある住宅用の家屋(中古住宅)で、取得の日以前20年以内(耐火建築物は25年以内)に建築されたものであること。
*耐火建築物=登記簿上に記録された家屋の構造が、鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造などのものをいう。
(4)建築後使用されたことのある住宅用の家屋(中古住宅)で地震に対する安全性の基準に適合していることを一定の書類により証明されたものであること。
(5)上記(3)(4)のいずれにも該当しない建築後使用されたことのある住宅用家屋(中古住宅)で、その住宅用家屋の取得の日までに、同日以降その住宅の耐震改修を行うことを一定の書類に基づいて都道県知事などに申請をし、かつ、贈与を受けた翌年3月15日までに、その耐震改修によりその住宅用の家屋が耐震基準に適合することとなったことを一定の証明書等により証明がされたものであること。