目次
- 1.【繰り上げ返済とは】
- 2.【住宅ローン控除とは】
住宅ローンを組む時に定年年齢までに完済できる返済期間にするのか、それとも家計に無理のない返済金額から割り出した返済期間にするのか迷ってしまいますね。
早く返済を終わらせたいからと返済期間を短く設定してしまいますと、毎月の返済額が多くなり家計を圧迫しかねないので、返済期間を長くして毎月の返済額が家計を圧迫しないようにし、繰上返済で返済期間を短くしようと返済計画をたてることが一般的ではないでしょうか。
1.【繰り上げ返済とは】
繰り上げ返済とは、まとまった資金を返済して元本を減らすことを指します。
繰り上げ返済の方法には下記2種類があります。
- ①期間短縮型=返済額を変えずに返済期間を短くする
⇒返済期間が短くなるので、その分の利息の支払いがなくなる=利息軽減効果 - ②返済額軽減型=返済期間を変えずに返済額を少なくする
⇒元本が減るので利息部分も減ることにより、月の返済額が減る
ローンを借りるときは毎月の返済額を抑えるために返済期間を長くする方が多いので、予定完済時期に合わせた「期間短縮型」が選ばれているのが一般的です。
どのタイミングで繰上返済をするのが効果的かというと、元本が多く残っている返済期間の早いうちに実行した方が効果は大きく表れます。とはいうものの一度繰上返済をしたお金は戻ってきません。住宅ローン返済中は子どもの教育資金が思いのほかかかる時期でもありますので、繰上返済をすることにより手元の現金が減ってしまい、返って家計が苦しくなってしまう「繰上返済貧乏」とならないように充分に検討するようにしましょう。
2.住宅ローン控除とは】
「住宅ローン減税」とも言われますが、正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。
住宅ローンを組んで、マイホームを購入したり、省エネやバリアフリーなど特定の改修(リフォーム)工事をしたりすると、年末の住宅ローン残高の1%が10年間にわたり所得税から控除される制度をいいます。
「早期に繰上返済をした方が利息軽減効果が高いとはいうものの、住宅ローン控除を考えた時、繰上返済したら年末残高が減って損になるのでは?」と思いますよね。
実際に比べてみましょう。
借入金額:3,200万円 返済回数:420回(35年) 住宅ローン控除期間:10年 単位:万円 |
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金利 | 0.42% | 1.1% | 1.55% | |
繰上返済しない控除額合計 | 268 | 272 | 275 | |
繰上返済した 場合の控除額合計 と利息軽減額合計 |
1年経過毎 に50万円 繰上返済 (計10回) |
245+59=304 | 249+168=417 | 252+251=503 |
繰上返済をした場合 短縮された返済回数 |
352回 (29年4か月) |
348回 (29年) |
344回 (28年8か月) |
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繰上返済した 場合の控除額合計 と利息軽減額合計 |
10年経過後 に500万円 繰上返済 |
268+48=316 | 272+137=409 | 275+202=477 |
繰上返済をした場合 短縮された返済回数 |
354回 (29年6か月) |
351回 (29年3か月) |
349回 (29年1か月) |
繰上返済をしない場合と比べて、繰上返済をした場合では、控除額合計と繰上返済による利息軽減額合計の方が節約効果が高いことがわかりますね。
ではどのタイミングで繰上返済をした方が節約効果が高いか金利ごとの比較結果を見てみると・・・
*0.42%の場合は10年経過後に繰上返済をした方が節約効果が高い。
⇒繰上返済のタイミングは住宅ローン控除期間が終了してからが節約効果は高い。
*1.1%と1.55%の場合では1年経過毎に繰上返済をした方が節約効果は高い。
もうお解りですね。
住宅ローン控除は年末残高の1%が控除されるため1%を超える利息の場合は、毎年控除した方が節約効果が高くなります。
ここまで「住宅ローン控除と繰上返済による節約効果」についてお話してきましたが、もっと重要なことがあります。
完済年齢を決めて効果的な繰上返済をすることは老後の生活設計を考える上では大切です。とはいうものの、住宅ローン返済中は子どもの希望進路による教育資金の増額や親の介護の資金援助、望まない収入の減少など様々なことがおこりえます。なかなか計算通りにはいかない、つまり損得勘定では計れないというのが現状です。いかに計画的に繰上返済をし、予定通りに完済できるかということの「カギ」は住宅購入時の資金計画にあります。ここはあらゆる方向からライフプランを考えファイナンシャルプランニングをして住宅の購入金額を決めましょう。不動産購入に特化したファイナンシャルプランナーにアドバイスを受けることが将来の安心・安全につながります。